Classiques japonais avec furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lisez 春いくたび (はるいくたび) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 70 094 caractères · 142 écrans
しかし長く待つひまもなく、その両方から一時に銃声が起った。
「あ! またやられる※(感嘆符二つ、1-8-75)」
兵たちは一せいに色をかえた。
「――隊長」石岡が走って来た。
「救援隊を出しましょう!」
「いかん」
「彼らはまたやられます、私を行かせて下さい、隊長!」
「いかん、おちつけ!」
半九郎はきっぱりといった。
「敵はそれを待っているんだ、救いに行けば行っただけ全滅だ。――これで、ようやくわかったぞ、土生一族のはかりごとはこれだったのか」
「これがはかりごとですって?」
「彼らはわざとこの砦をからにした、そして我々をこの谷間へ入れて袋攻にしようとはかったのだ」
半九郎はうめくようにいった。
「我々はいま袋の鼠だ」
「――隊長」
石岡の顔がさっとあおざめた。
銃声は間もなくやんだ。
しかし一人も帰って来なかった、十名ずつ、出してやったふた組の斥候は、ふた組とも全滅してしまったのである。
「石岡、……隊を集めてくれ」
半九郎はそういって広場へ出た。
わずかのあいだに二十余人の同志を失い、また自分たちがまったく敵にかこまれていることを知って、隊士たちの不安はかくしきれぬものがあった、ここで士気をうしなってはならない、――半九郎は全員が集るのを待って、