Classiques japonais avec furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lisez 春いくたび (はるいくたび) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 70 094 caractères · 142 écrans
五
といいながら進み出た。――門人たちは、すでに十八人を斬られて闘志を失っていたところだから、湛左の声を聞くまでもなく広縁のほうへ退いた。三樹八郎は、娘のいる床間を背に、呼吸をととのえながら、
「ほう、人の斬りかたを教えてくれるか、鬼の湛左の無念流、どう斬るかしかと拝見しよう、――さッ」
ぐっと大剣を差出す。
「その頬桁、忘れるな、行くぞ※(感嘆符二つ、1-8-75)」
「――おう」
湛左は上段にとった、三樹八郎は青眼、――さすがに門人たちとは段違い、無反の強刀は満々たる殺気を含んで、一撃断鉄の機を狙っている。
しかし勝負は一瞬にして決した。
――斬れる!
と思った三樹八郎が、青眼の籠手をつと右へ外すのと、湛左が大きく踏出しながら、
「いぇいッ」
「やあッ」
絶叫して斬下すのとほとんど同時。あっと見た刹那! 三樹八郎は右へ躰を開いていたし、湛左は、斬下した躰勢のまま、だっと床間へのめって行って、掛軸を右手に引りながら、まるで濡れ雑布巾のように崩落ちる。――半ば斬放された頸根から迸り出る鮮血が、揉みしだかれた掛軸の白を鮮かな紅に染めていった。
五
菊一文字の短刀と、春枝を援けて三樹八郎が道場を出る、――足早に四、五間行くと、