Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans
瞼はもう離れようとしなかった。意識は何も受けつけないのだ。蹣跚とした大広間の往復が、自席に着いてどっと疲労を呼びおこした。彼は潰えるように横になった。肱枕に他の手を添えた。
「篠崎どの――ご前でござるよ、篠崎どの」
しっかりしたものが腰をゆすった。
「うるさい――」とそれをふり払って、目を閉じたまま彼は大きな声で云った。
「ご前が何だ、昔のはなしだ」
うたごえと撥の音と、あちこちに出来た塊りでは喧ましい話しごえが沸り立って、はるか下座のこの老人の言葉などは揉みくたにされていた。
誰にも聞きこまれないうち消えていた。はッと周囲を見まわしたあたりのものは、しかし、目を細めて正座を見やるのである。邦夷はそこに、先程からの同じ姿勢で坐っていた。――坐っているというよりも、置かれているという感じであった。この人の五官だけは、冷たい正常な刺激を享けていた。
あとは、杯盤狼藉の一歩手前であった。人いきれと酒肴の臭気と――それに畳のほこりも混って、生ぬるい広間の空気は何か朦朧としている。耳と目の感覚が上ずっている。
阿賀妻は隅の方で、手酌で傾けていた。
――もっとも大切な重大問題をそのままにして宴は進んでいたのだ。