Classiques japonais avec furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans
内心の本意はどうあろうとも、自分らもそうなるであろうと口に論じたことが、やがてその通り実現したのだ。すると、そら見ろ、そら見ろ、と、喚きながら、泣きべそを掻いた。それほど狼狽したのだ。間もなくそのうちのある者は、嘗つての朋輩の、あるいは目下のものの許へ嘆願に来ている。ここにもその一人がいた。即ち、阿賀妻であった、――
たばこの煙は、口腔のなかでしばらく捏ねまわされた。しぶい、あまい味が口うら一ぱいに浸みわたった。吸殻をこつンと灰吹きにたたいた。やにのついた竹づつからほそい煙がすッとのぼった。
今ではこの銀のきせるは、道中に於ける万一に備えて、常に持ち歩いている。妻が入念に縫ったどんすの煙草袋に、わざわざ金の止めがねをつけさせたのもつい先年のことであった。ひとつには、再び来ないであろう彼らの栄耀の日に、ここで別れたと追想するよすがにしたい気持であった。同時に、金さえあれば、大概のことは片がつくらしい次の時代への渡し銭にもと思ったのだ。
彼らは身銭をきって渡った。そして、渡ってしまって、つづめて云えば、結局銭が足らなくなった。なにもむつかしく考える必要はない――