Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans
伸子と素子とがはじめてモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)について、窓から降る初雪を眺め、胸をときめかせてクレムリンの時計台がうち出すインターナショナルの一節に耳を傾けた一九二七年の夜、パッサージの二人の給仕たちは、全く忙しかった。伸子たち数人の日本人のいるタバコの煙のたちこめた室に、夜十時すぎてからサモワールを運びあげ、夜食の茶道具を運び上げて、二つの急な階段を上下したばかりでなかった。注文があればパッサージのどの室へでも正餐の料理を運ばなければならなかったし、一本の鉱泉水のために、もう若くない給仕のボリスが、あら毛の生えた太った頸すじを赭らめ、額に汗の粒を浮せながらうすよごれたナプキンをふってのぼって来るのに出くわしたりすると、伸子は気の毒な気がしたものだった。廊下のどこかでドアの一つが開けはなされていて、そこから無頓着な男の大声が、
「ダワイ・ナルザーン(ナルザン水をもって来な)」
と叫び、その声の主よりずっと年をとっているボリスの不機嫌な喉声が、昔の召使が主人に対してつかっていたとおりの言葉づかいで、
「スルーシャユ・ス(かしこまりました)」