Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
銭形平次捕物控
一
一
江戸開府以来の捕物の名人と言われた銭形平次も、この時ほど腹を立てたことはないと言っております。
滅多に人間を縛らぬ平次が、歯噛みをして口惜しがったのですから、よくよくの事だったに相違ありません。
「親分、また神隠しにやられましたぜ」
ガラッ八の八五郎が飛込んで来たのは、初夏の陽が庇から落ちて、街中に金粉を撒いたような、静かな夕暮でした。
「今度は誰だ」
平次は瞑想から弾き上げられたように、火の消えた煙管をポンと叩きました。
「石原町の日傭取の娘お仙と駄菓子屋の女房のおまき、それから石原新町の鋳掛屋の娘おらく――」
「三人か」
「三人は三人でも、今度のは一粒選りだ。ピカピカ後光の射すのをさらわれて町内の若い者は気違いのようになっていますぜ。殺生な真似をする野郎じゃありませんか」
「野郎だか怪物だか見当が付かねえから弱っているのさ、とにかく行ってみよう」
平次は短い羽織を引掛けると、ガラッ八の八五郎を案内に、本所へ飛んで行きました。
神隠し騒動――と言われたこの事件は、平次捕物のうちでも極めて重要な事件で、詳しく書くと長大な一編の小説になりますが、要点だけをかい摘むとこうでした。