Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
九
九
「やい、あの人殺し野郎の唐変木は居るかい」
半蔵が小永井家の大玄関から怒鳴り込んだのは、その日の夕刻。
「あッ」
取次の用人は、半蔵の顔を見ると奥へ逃込んでしまいました。女中端女等は、もとより寄り付けません。
「半蔵が逢って文句を言いに来たと言えッ。親父の人殺し野郎と、倅の色気狂野郎を並べて置いて、土手っ腹へ風穴をあけてやるんだ」
半蔵は無人の境を行くがごとく、部屋から部屋を漁って行きました。
「俺のお袋と旦那様を殺したのは、どいつだ、出て来やがれ」
旗本屋敷には相違ありませんが、滝三郎も文五郎も無類の柔弱者で、もとより半蔵ほどの者を押える気力もありません。
「まア、まア、半蔵、何をそんなに騒ぐんだ」
それでも見兼ねたか、滝三郎は笑みこぼれそうにニヤニヤしながら出て来ます。
「ヤイ、この野郎、お嬢様を水責めなんぞにしやがって、その上この家を乗っ取ろうてんだろう。侮の眼玉が黒いうちはそんな事をさせるもんか。お袋と、旦那の仇を討ちに来たんだ、覚悟しやがれ」
半蔵は腹巻を探って、匕首を取出すと、鼠を狙う猫のように身構えました。
「危ねえ、そんなものを抜いちゃいけない、半蔵、気を鎮めてよく聴いてくれ、――実は、お前の来るのを待っていたんだ」