Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
四
二人は顔見合せて銘々の考えに沈みました。万三郎が下手人でないとすると、さて誰があんなむごたらしい事をしたでしょう。
「平次、お蔭でよく解ったよ、明日は拷問に掛けても万三郎の口を割って見せると利助は言っているが、この分ではそんな事をさせるわけに行くまい。この上とも利助に遠慮をせずに骨を折ってみてくれ、私から頼む」
「ヘエ――」
そう言われると、さすがに厭だとは言われません。平次は当惑して自分の膝小僧に眼を落しました。
四
万三郎が許された翌る日。
「親分、石原の利助は今度は船頭の直助を挙げました」
あわて者のガラッ八が、長屋中響き渡るような声で、こう言いながら飛込んで来ました。
「とうとうやりやがったか、そう来るだろうと思ったよ」
平次は畳の上へ煙管をポンと投り出して、高々と腕を拱きます。
「ね親分、本当に下手人は船頭でしょうか」
「それは判らない」
「じゃ、冤罪でしょうか」
「それも判らない、いくら酔っ払っていたにしても、簾一重の隣で、人一人殺されるのを知らなかったというのは可怪しい――」
「してみるとやはり石原の見込み通り、下手人は船頭に相違ねえことになる」
「さア、船頭が芸妓を殺す気なら、面倒臭くて不確かな簪などを振り廻さずに、手っ取り早く足でも掴んで川の中へ沈めにかかりそうなものだ」