Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
五
冷酷無残な人情と、仮借なき法の運用に対する反抗は、昔から小説のよき題材ではあるが、わけてもヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』は代表的で、法の冷たい執拗さの影に、人間の果敢なさ弱さを強調したものである。
この思想は何時の世にも民衆の喝采を呼ぶことに変わりはなく、やや不健康な程度にまで奔逸したのは、泥棒小説とやくざ小説の題材になっているのである。
法の精神は、動機を罰せずして、行為を罰する。動機がいかに兇悪無残でも、行為として直接現われない限り、法はこれを罰することは出来ない。しかし、大岡裁きや捕物小説においては、しばしば行為を罰せずして、動機を罰することさえ許されているのである。捕物小説の面白さ、読者にやんやといわれる原因は、その辺にもあることだろうと思う。
五
だが、私は決して捕物小説の現状に満足しているものではない。捕物小説も、娯楽小説であると共に、文学としての一つの形式を確立し、芸術的作品にまで地位を高めなければならないのである。ドストイェフスキーの『罪と罰』がかつて試みたように、人間の心のうちから、天使と悪魔とを抽出して、最高文学の領域にまで、その創造を高めなければならないのである。