Classiques japonais avec furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lisez 雪国の春 (ゆきぐにのはる) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 000 caractères · 266 écrans
某年この付近の船頭に、奥州津軽のある海岸に船がかりをしていた者が、上陸して村の奥の山へ遊びに行った。三十ばかりの美しい女が一人出て来て、国はどこかと聞いて非常に懐かしがり、私の故郷も筑前だといって、いろいろな事を尋ねるが話がどうも合わぬ。実はもう私は六百四十歳ばかりになる。若い時分に病気をしていると、子供たちが案じて珍しい貝を捕ってきて食わせてくれたら、だんだん若くなるばかりで死ななくなってしまった。子にも孫にもおくれたゆえに、ぜひなく国を出てきて、それから亭主も二十何人とか持ちかえたが、自分ばかりはまだこうしている。貝の殻だけはあまりに奇妙なので、こうこうした松の下に埋めて置いた。尋ねてみてくれと伝言したので、そこで右の伝次がこれを発見することにはなったのである。
この話はもちろん確実性に乏しい。少なくとも中途で誰かが若干はうそをもついている。しかも私などの注意するのは、九州の船頭の帰ってきての話に、この女が壇の浦の合戦前後の事を、よく知っているのに驚いたと話したという点である。でも稚ない天子さまが、筑前山鹿とかにご滞在の際のことで、毎度この女は魚を売りに行って、陣屋々々の様子を見ていたと語ったそうである。