Classiques japonais avec furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lisez 雪国の春 (ゆきぐにのはる) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 000 caractères · 266 écrans
合歓と椿
ハマナスの根の皮は、採って染料にしている地方がある。北海道などでは実を貯えて食用とする土人が多く、寂しい旅の者ならずとも、親しみを感ずる木であった。蝦夷の浦々にもいたる所に大きな群れがあったというから、夏場所の漁民らには、花の中に起臥した者も多かったろうが、記録には取り立ててその美しさを語ったものがない。自分が旅中に見てきたのは、白糠以北の砂山から、釧路の港の後ろの岡などであった。今は開けてあのころの面影もないかしらぬが、寒地に行くほどたけが高くなるのではないかと思われた。砂地でない原野にも、いくらも生長していた。樺太ではアニワの湾内にも、オコツク海の岸にもたくさんあって、名は同じくハナマスであったが、木の姿と葉の形が、ともに内地のようではなかった。短い夏の間に繁殖の営みを終わるべく片枝は花が咲いて蝶などがきたり遊び、その脇にはまだ小さい蕾もあるのに、一方は実がつとに熟して、きれいな丹色をなして垂れていた。そうして大海の深緑が、昔から変わらぬ背景であった。
合歓と椿
浜に咲く花はこの他にもいくらもあったろうが、たいていは今は忘れている。わずかに残った記憶の中を捜すと、男鹿の突角の高地、八戸の後ろの山、津軽の十三潟の出口の野などでは、無数の蝦夷菊の野生を見た。