Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

の出来ない、十八世紀維納風の書室造りだったのである。その空んとした図書室を横切って、突当りの明りが差している扉を開くと、そこは、好事家に垂涎の思いをさせている、降矢木の書庫になっていた。二十層あまりに区切られている、書架の奥に事務机があって、そこには、久我鎮子の皮肉な舌が待ち構えていた。

「オヤ、この室にお出でになるようじゃ、たいした事もなかったと見えますね」

「事実そのとおりなんです。あれ以後人形が出ない代りに、死霊は連続的に出没していますよ」と法水は先を打たれて、苦笑した。

「そうでしょう。先刻はまた妙な倍音が聴えましたわ。でも、まさか伸子さんを犯人になさりゃしないでしょうね」

「ああ、あの倍音を御存じでしたか」と法水は瞼を微かに戦かせたが、かえって探るような眼差で相手を見て、

「しかし、この事件全体の構成だけは判りましたよ。それが、貴女の云われたミンコフスキーの四次元世界なんです」といっこう動じた色も見せず、続いて本題を切り出した。

「ところで、その過去圏を調べにまいったのですが、たしか、鎮魂楽の原譜はあるでしょうな」

「鎮魂楽※(感嘆符疑問符、1-8-78)」と鎮子は怪訝な顔をして、「だが、あれを見て、いったいどうなさるのです?」