Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

続いて、昨夜神意審問会が行われた室を調べることになったが、そこは、この館には稀らしい無装飾の室で、確かに最初は、算哲の実験室として設計されたものに相違なかった。広さの割合に窓が少なく、室の周囲は鉛の壁になっていて、床の混凝土の上には、昨夜の集会だけに使ったものと見え、安手の絨毯が敷かれてあった。なお、庭に面した側には窓が一つしかなく、それ以外には、左隅の壁上に、換気筒の丸い孔が、ポツリと一つ空いているにすぎなかった。そして、周壁を一面に黒幕で張り繞らしてあるので、たださえ陰気な室がいっそう薄暗くなってしまって、そこには、とうてい動かし難い沈鬱な空気が漂っているのだった。涸れ萎びた栄光の手の一本一本の指の上に、死体蝋燭を差して、それが、懶気な音を立てて点りはじめた時の――あの物凄い幻像が、未だに弱い微かな光線となって、この室のどこかに残っているかのように思われた。その室を一巡してから、法水は左隣りの空室に行った。そこは、昨夜易介が神意審問会の最中に人影を見たと云う、張出縁のある室だった。その室は、広さも構造もほとんど前室と同じであったが、ただ窓が四つもあるので、室の中は比較的明るかった。