Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

やがて、クリヴォフ夫人は法水の前に立つと、杖の先で卓子を叩き、命ずるような強い声音で云った。

「私どもは、して頂きたい事があってまいったのですが」

「と云うと何でしょうか。とにかくお掛け下さい」法水がちょっと躊躇ぎを見せたのは、彼女の命令的な語調ではなかった。遠見でホルバインの、「マーガレット・ワイヤット(ヘンリー八世の伝記者、タマス・ワイヤット卿の妹)の像」に似ていると思われたクリヴォフ夫人の顔が、近づいてみると、まるで種痘痕のような醜い雀斑だったからである。

「実は、テレーズの人形を焚き捨てて頂きたいのです」とクリヴォフ夫人がキッパリ云い切ると、熊城は吃驚して叫んだ。

「なんですと。たかが人形一つを。それは、また何故にです?」

「そりゃ、人形だけなら死物でしょうがね。とにかく、私どもは防衛手段を講ぜねばなりません。つまり、犯人の偶像を破棄して欲しいのです。時に貴方は、レヴェンスチイムの『迷信と刑事法典(註)』――をお読みになったことがございまして?」

「では、ジュゼッペ・アルツォのことを仰言るのですね」それまで法水は、しきりになにやら沈思げな表情をしていたが、はじめて言葉を挾んだ。