Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

何故なら、彼は時折嘆息し、あるいは細めた眼を、細刻や紋章に近づけたりなどして、たしかにこの戦具変遷の魅力は、彼の職務を忘れさせたほどに、恍惚とさせたに相違なかったのである。

火術弩の図

しかし、室内を一巡して、ようやく水牛の角と海豹の附いた北方海賊風の兜の前まで来ると、彼は側の壁面にある、不釣合な空間に注いだ眼を返して、すぐその前の床から、一張の火術弩を拾い上げた。それは、全長三尺もあるフィンランダー式(上図参照)のもので、火薬を絡めた鬼箭を発射して、敵塞に射込み、殺傷焼壊を兼ねるという酷烈な武器だった。ところで、その構造を概述すると、弓形に附けられた撚紐の弦を中央の把手まで引き、発射する時は、その把手を横倒しにするという装置で、火砲初期頃の巻上式に比べると、きわめて幼稚な十三世紀あたりのものに相違なかった。すなわち、この一つの火術弩から発射された鬼箭が、クリヴォフ夫人に生死の大曲芸を演ぜしめたのであった。が、それが掲げられていた壁面の位置は、ちょうど法水の乳下辺に当っていた。またそれと同時に、熊城が石卓の上にあった鬼箭を持って来たけれども、その矢柄は二センチに余り、鏃は青銅製の四叉になっていて、鴻の羽毛で作った矢筈と云い、見るからに強靱兇暴をきわめ、クリヴォフ夫人を懸垂しながら突進するだけの強力は、それに