Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

伸子の室は、幾分ポンパドゥール風に偏した趣味で、桃色の羽目を金の葡萄蔦模様で縁取っていて、それは明るい感じのする書斎造だった。そして、左側が細長く造られた書室に入る通路、右側の桔梗色した帷幕の蔭が、寝室になっていた。伸子は法水を見ると、あたかも予期していたかのように、落着いて椅子を薦めた。

「もうそろそろ、お出でになる頃合だと思ってましたわ。きっと今度は、ダンネベルグ様のことをお訊きになりたいのでしょう」

「いやけっして、問題と云うのは、あの屍光にも創紋にもないのですよ。勿論、青酸には適確な中和剤がないのですから、貴女がダンネベルグ夫人と同じレモナーデを飲んだにしても、あながちそれには、例題とする価値はないでしょう」と法水は、彼女を安堵させるためにまず前提をおいてから、「ところで、貴女はあの夜、神意審問会の直前にダンネベルグ夫人と口論なさったそうですが」

「ええ、しましたとも。ですけど、それについての疑念なら、かえって私の方にあるくらいですわ。私には、あの方が何故お怒りになったのか、てんで見当がつかないんですの。実は、こうなのでございます」と伸子は躊わず言下に答えて、いっこうに相手を窺視するような態度もなかった。