Classiques japonais avec furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans
それは単に、あの偽装足跡を残すばかりではなかったのだ。なにより、最も弱点であるところの踵を保護して、自分の顔を足跡から消してしまうにあったのだよ。そして、その行動の秘密と云うのが、あの乾板の破片にあった――と僕は結論したいのだ」
熊城は莨を口から放して、驚いたように法水の顔を瞶めていた。が、やがて軽い吐息をついて、「なるほど……。しかし、ファウスト博士の本体は、武具室のクリヴォフ以外にはないはずだぜ。もし、それを証明出来ないのだったら、いっそのこと、君の嬉劇的な散策は、やめにしてくれ給え」
それを聴くと、法水は押収してきた火術弩を取り上げて、その本弭(弓の末端)の部分を強く卓上に叩き付けた。すると意外にも、その弦の中から、白い粉末がこぼれ出たのであった。法水は、唖然となった二人を尻眼に語りはじめた。
「やはり、犯人は僕等を欺かなかったのだ。この燃えたラミイの粉末が、とりもなおさず、あの、火精よ燃えたけれ――なんだよ。ラミイ――それをトリウムとセリウムの溶液に浸せば、燈火瓦斯のマントル材料になるし、その繊維は強靱な代りに、些細な熱にも変化しやすいのだ。