Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

しかも、伸子を倒し、また、廻転椅子にも疑問を止めた原因と云うのは、その激烈な唸りに加えて、もう一つ、伸子の内耳にもあったのだ。事実先刻の陳述は、それを語り尽してあますところがなかったのだよ」

「冗談じゃない。あの女は、右の方に倒れたのを記憶していると云っているぜ。しかし、当時の伸子の姿勢は、左の方へ廻転した跡を残しているのだ」と熊城が聴き咎めると、法水はおもむろに莨に火を点じてから、相手に微笑を投げた。

「ところが熊城君、ヘガール(独逸の犯罪精神病学者、バーデンの国立病院医員)の類例集の中には、四つ角で衝突したヒステリー患者が、その側を反対に陳述したという報告が載っている。事実そのとおりで、発作中にうけた感覚は、その反対の側に現われるものなんだよ。しかし、この場合問題と云うのは、けっしてその一つばかりではない。もう一つ、やはり発作中には、聴覚が一方の耳に偏してしまう――という徴候にもあったのだ。そして、伸子にはそれが右の耳にあったので、扉を鎖された瞬間起ったあの猛烈な唸り――。ほとんど音が意識出来ないほど、むしろ器官の限度を超絶したものが襲い掛ってきて、それが内耳に、燃え上るような衝を起したのだよ。