Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans
しかしその間、検事は、頸筋の襟布を指で摘み上げて、しきりと後頭部の生え際のあたりを瞶めていた。が、そうしているうちに、その眼が不気味に据えられてきた。
「僕は、レヴェズに対するゴシップが、あまり酷評に過ぎやせんかと思うのだ。どうだろう法水君、この胡桃形をした無残な烙印には、たしか索溝の形状と、背馳するものがあるように思われるんだが」とてっきり、胡桃の殻としか思われない結節の痕が、一つ生え際に止められているのを指し示して、
「なるほど、索状が上向きにつけられている。そうしたら、こんな結節の一つ二つなんぞは、恐らく瑣事にもすぎんだろう。しかし、古臭いフォン・ホフマンの『法医学教科書』の中にも、こういう例が一つあるじゃないか。それは――床に落ちた書類を拾おうとして、被害者が身体を踞めたところを、その一眼鏡の絹紐で、犯人が後様に絞め上げたと云うのだ。勿論そうすれば、索溝が斜め上方につけられるので、後で犯人は、その上に紐を当がって屍体を吊したのだよ。ところが、頸筋にたった一つ結節が残されていて、とうとう終いには、それが、口をきいてしまった――と云うのだがね」そう云ってから、レヴェズの自殺を心理的に観察して、検事はこの局面で、最も痛い点に触れた。