Classiques japonais avec furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans
何故なら、元来アレキサンドライトという宝石は、電燈の光で透かすと、それが真紅に見えるからだ。そこで僕は、伸子がレヴェズにあの室を指定して、自分はアレキサンドライトを髪飾りにつけ、それに電燈の光を透過させて、レヴェズを失意せしめた――と解釈するに至った。ねえ支倉君、この警句はどうだろうね。レヴェズ――あの洪牙利の恋愛詩人は、秋を春と見てこの世を去った――と」と一息深く莨を吸いこんでから二人が惑乱気味に嘆息するのも関わず、法水は云い続けた。
「ところが、あの黄から紅――には、なおそれ以外にも別の意義があって、勿論僕が、サントニンの黄視症を透視したというのも、偶然の所産ではなかったのだよ。何故なら、それから、犯人の潜勢状態を剔抉したからだ。それを他の言葉で云うと、兇行によってうけた犯人の精神的外傷――つまり、その際に与えられた表象や観念の、感覚的情緒的経験の再現にあったのだ。勿論僕は、神意審問会の情景を再現した際に、なんとなく伸子の匂いが強く鼻を打ってきたのだ。で、試みに、譏詞と諷刺のあらん限りを尽し、お座なりの捏造を旗太郎に向けてみた。云うまでもなく、それは伸子の緊張と警戒を取り去るためだったのだが、勿論ダンネベルグ夫人の自働手記は、伸子がテレーズの名を書かせたのだったし、レヴェズの死と拇指痕の真相以外は、何一つ