Classiques japonais avec furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lisez あさひの鎧 (あさひのよろい) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 520 caractères · 475 écrans
と、合図らしい太鼓の音が、櫓の一つから鳴り渡った。
とたんに塀が一斉に崩れた。
塀は二重に拵えてあり、その一重を切って落としたからである。
千人あまりの寄せ手の勢は、折り重なって塀の下になった。
そこを目がけて櫓々から、大石大木を投げ下ろした。
七百あまり打ち殺され、寄せ手はにわかに怖毛立ち、潮の引くように退いた。
(ははあこれが今日の兵法か。……味方の一兵をも損じないで、大勢の寄せ手を退けたところ、正成らしいやり方じゃ)
西櫓の窓から見下ろしていられた大塔宮はそう思われた。
翌日も翌々日もその翌日も、寄せ手は懲りずまに攻めよせたが、そのつど正成の奇計によって、退却させられる憂目ばかりを見た。
四日目の夜は大暴風雨であった。
その暴風雨を貫いて城から不意に火の手があがった。
「や、燃えるわ、城が燃えるわ!」
と、寄せ手は事の意外に驚き、これも正成の奇計ではないかと、なかばは危ぶみながら眺めていた。
火はいよいよ燃え盛った。
そこで寄せ手の勢は門を破り、城の中へこみ入った。
ほとんど城兵の影はなく、大穴がいくつか掘られてあって、そこに死骸が投げ込まれてあり、積んだ焚木が燃えていた。