Classiques japonais avec furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lisez あさひの鎧 (あさひのよろい) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 520 caractères · 475 écrans
悲痛の頼春
ここを今、頼春は歩いているのであった。
悲痛の頼春
盲目の彼には見えなかったが、馬酔木の叢が小山かのように、ワングリと高くもりあがって茂り、そういう茂りが前後左右に、起伏をしているその中ほどを、彼はさまよっているのであった。
その頭上にはや槲が、半かけの月光や星の光を、枝葉の隙からわずか零し、野葡萄や木賊や蕁麻や芒で、おどろをなしている地面の諸所へ、銀色の斑紋を織っていた。
枝などに引っかかったためであろう。冠っていた編笠も今はなく、盲目となって人相変わり、美男をもってうたわれた顔が、妖怪のような顔になっていたが、ところどころに負傷して、流れ出た血がこごって黒く、色づいている手や足と共に、光の斑紋裡へはいった時、もの恐ろしく眺められた。
これが命の竹の杖で、おぼつかなさそうに足もとをさぐり、的なしに彷徨っているのであった。
多治見ノ四郎二郎国長の館が、六波羅勢に攻め落とされ、勝ちほこった勢がひきあげた時、彼も雑ってひきあげたが、しかし六波羅の探題へも帰らず、自分の館へも帰って行かず、甲胄ぬぎすて庶人となり、右近ノ蔵人の官位も捨て、あの愛していた妻も捨て、武士も捨て名も家も、財宝も金も一切捨てて、浄罪と※悔と試練との旅へ、誰にも告げずに出て来たのであった。