Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lisez さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 210 521 caractères · 415 écrans
十二の三
義一は松田をからかっているのだ。そして、そうすることで、自分をみんなに誇示しようとしているのである。このおれ自身がそうであったように、――実際にはそんなことにはなんの意味もなく、却って自分を道化にしているにすぎないのに。栄二がそう思っているとき、義一はおひゃらかし笑いをしながら、集めた花札を持って立ってゆき、松田の手に渡した。
「冗談だよ、松田さん」と義一は云った、「ここじゃあ冗談ひとつ云えないのかい」
「きさまにはこのおれがばか者にみえるらしいな」松田は荒い呼吸をしながら云った、「元締役はここを牢ではないと云われた、慥かにそのとおりだが、寄場をあまくみると後悔するぞ」
「わかりましたよ」と云って義一はうしろにいるりゅうへ振り向いた、「――いまのお差配の仰しゃったことを覚えておけよ、りゅう、ここは伝馬町よりおっかねえところらしいからな、おとなしくしようぜ」
「あのこと怒ってるのかい、あにき」とりゅうは面白そうに云った、「それとも、怯えちゃってるんじゃねえかな」
松田は大股に出てゆき、手荒に引戸を閉めた。
花札は松田権蔵が持っていった。それはみんなが見ていたことだ。