Classiques japonais avec furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lisez 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 147 226 caractères · 295 écrans
ほたら釣れるわ釣れるわ、金魚やら支那金魚やら緋鯉やら鯰やら、その釣れたの持って帰って近所の縁日へ出よる隣の金魚屋の小父さんに売ったったわ。エ、その金か、ウム、もうすっくり郵便局へ預けてしもうたがな」
これは団丸の自慢話だった。
ずるさは紋兵衛の市電の切符と同じだけれど、あとで貯金してしまっただけ、このほうが上手であるといえよう。
一家六人のところ毎晩精進揚三つ買ってきてお菜にする、どうして三つの精進揚が六人で食べられるのかと訊ねたら、なんと鋏で二つずつに切るのだと言った、これも団丸。
圧巻は、いちばん年寄の万年二つ目の麦松だった。
場末の古本屋の親爺によく見られる夏冬ともにくすぶり返って汚い襟巻を首へ巻きつけていそうな貧相な顔の麦松は変屈者らしく、誰ともろくに口を利かなかった。
「お早ようさん」
と言っても、
「うん」
「お休み」
と言っても、
「うん」
うんばかりだった。
黙って陰気に高座をつとめ、黙って陰気に寝てしまう。
不思議なことは、この男、どこの町へ着いても灯の点くまで決して小屋へも宿へも帰って来なかった。
二日三日とひとつ町で打ち続けるときは、きっと毎朝小さな色褪せた茶色の風呂敷を首っ玉へ巻きつけて、なんにも言わずに出ていった。