Classiques japonais avec furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lisez 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 147 226 caractères · 295 écrans
四
「駄目だよ、俺なんか」
はじめは受けつけもしなかったものの、年の若いくせに苦労人の桃輔は、先方はお前さんよりちょっと年上だが、牛坂のある素晴らしい物持ちの未亡人であること、しかもたいそう芸事の好きな意気な人であること、その未亡人がいつかお前さんがうちの師匠の一座へ出たときやってきて亡くなった御主人にそっくりだからぜひあの人をと御執心であること、等、等、等を、なんべんもなんべんも繰り返し繰り返ししゃべって、そして帰っていった。だからようやくひとつ考えてみてください。
桃輔の話のあらましはこうだったが、今養子よりなによりも自分の心に匂っているのは、なんといってもやっぱりあのお艶ちゃんの上である。
この自分の心の中に、パッと白百合の花のように咲いているあの面影は、日に、月に、活々と、瑞々と、匂いを増してきている。
槍がふろうと、刀がふろうと、恐らく自分には思い切れまい。
いや、死んでお墓へ入ってのちもなおかつパサパサになった俺のお骨の中では、あのお艶ちゃんという百合の花香が、馥郁と匂いを放っていることだろう
仮にもそれほどのお艶ちゃんを裏切って、お前は行くのか。