Classiques japonais avec furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lisez 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 147 226 caractères · 295 écrans
いつにも高座の外で師匠のこの顔を見たことがなかった今松は、嬉しさに、ジーンとこみ上げてくるものを感じた。
「こんな、こんなお前、名古屋あたり」
と言いかけてクスンと首を縮めたが、
「……にいるこたアねえ。帰んねえ。俺と一緒に帰んねえ。なあ、今松」
「ありがとう、ありがとうございます」
ていねいに頭を下げた。
「な。いいだろう。すぐ発てるな」
昔ながらに師匠は気が短かった。
「ハ。ですが」
「なにが、ですがだ」
「そのすぐがすぐと申しましても私」
「いいじゃねえかなにも。今の寄席へはなんとでも俺から話をつけてやる。それから借金があれば俺が払ってやる、酒屋にで料理屋にでも」
いつにもこんなこと、言ってくれたことのなかった師匠だった。いよいよ今松はしみじみ瞼が濡れてきた。
「ト、とんでもない師匠。私この頃はお酒もやめました」
「なに、やめた? そんな、そんなお前」
「いえほんとです、まったくなんで」
今松は、顔中を無気にして見せた。
「ホホーやめたか」
ようやく信用したらしく師匠は目を丸くしたが、
「しかし今松」
「…………」
「お前、俺のところを追い出されてから、今までどこでどんな修業をしていた。