Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lisez 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 147 226 caractères · 295 écrans
虚々実々
一
畜生。
誰が二度と江戸へなんか。
そこで憲法発布のあと問もなく東京を去ったまま、杳として今日までゆくえをくらましている名人だった。
そうか旅柳桜に仕込まれたのか、道理で、あの男の荒稽古なら、この上達も不思議じゃない。
それにしても柳桜爺さんよくまあ達者で、いったい今年いくつになったろうかしら。
助六は、白髪童顔の旅柳桜の、ありし日の流るるような歌い調子を、いまうっとりと耳に追っていた。
虚々実々
一
数日後。
久し振りで今松は東京の助六の家へ戻ってきた。永い間辛い稽古に通ってきていた師匠の家の中のものはなにひとつ見ても、そこに思い出の血がかよっていた。
その家中の調度や庭石のひとつひとつがみな無言の親愛をこめて、自分を迎えてくれているもののようだった。
夢にまで見て憧れた東京の寄席へも、またつとめられることになった。
高座のひとつ、鉄瓶ひとつ、湯呑ひとつに、大阪のそれとはまったく別な、口では言えない好もしさが満ち溢れていた。
故郷忘じ難し。ほんとうにその通りだった。
嬉しくないとは決して言えなかった。ばかりか、歓びが春の日浴びた泉のように、ワクワク身体中へ噴き上げてきた。