Classiques japonais avec furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lisez 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) de 正岡 容 (まさおかいるる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 147 226 caractères · 295 écrans
ささくれるのだ。
ガーンガーンと耳の奥の奥のほうからも、絶えず無気味な物音が聞こえてきていた。夕とどろきの物悲しさに、それが似ていた。
忘れよう。
忘れなくっちゃ――。
今松は、頭を振った。
烈しく左右に振ってみた。
どうかして、忘れようと努めた。
その苦しい幻を忘れるため、いっそう師匠のところへ稽古に出かけた。
めちゃめちゃに稽古をしてもらった。
で、「寿限無」は、どうやらこうやら、上げることができた。
つづいて「垂乳根」の稽古がはじめられた。
これは、「寿限無」とちがって、若い職人がお神さんをほしがる噺だった。
今松にも容易にこの心持ちは共感されるから、「寿限無」のときほど、その場その場の人間の了見の表現に、ドジを踏むようなこともなかった。
割合に師匠の小言も少なくトントンと進んで、職人のところへ、問題の京都の大内へ仕えていたという官女くずれのお嫁さんのやってくるところまでじきにしゃべれるようになった。
「妾ことの姓名を問い給うか、父は元京都の産にして、姓は安藤、名は慶蔵、宇五光と申せしが、ある夜、母君、丹頂の鶴を夢見て、妾を胎み給いしかば、幼少の折は鶴女鶴女と申せしが――」