Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lisez 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 264 133 caractères · 524 écrans
この声が牢屋の中のすみから起ると共に、牢の内外の泰平は一時に破れてしまいました。
「スワ!」
という騒ぎ。高張がつき提灯がつき、用意の物の具が、物すさまじい音をして牢屋同心の人々の手から手に握られました。
けれども靄が深いから、高張も提灯もその光が遠く及ばないのであります。人々の騒ぐのも、ただ電燈の消えた湯屋の流し場の中で騒ぐのと同じことで、おたがいの姿を見て取ることができません。況んや破牢の者共は、どの道をどの方向に逃げたのか、サッパリその見当もつきません。
「出合え、出合え」
という声が北の方の外まわりの高塀の下で聞えましたから、同勢はその声をしるべに、同じ方向へ駈けて行きました。
「待て!」
と言う声が聞えました。
「うーん」
とうなる声と共に、ドサリと人の倒れる音がしました。
「どこだ、どっちへ逃げた」
同勢はその唸る声と、人の倒れる音を目当として靄の中を進みます。
「捕った!」
「小癪な!」
そこで喧々濛々として一場の大挌闘が起ったようであります。
「提灯を! 高張を!」
同勢が叫びました。提灯と高張とは一度にそこへ集められました。その光で、あたりの光景が紅を流したように明るくなりました。