Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

「どうして僕の名を知っているんだ」

とでも虚勢を張って見る外はなかった。

「ウフフフ……、知っている訳があるのさ。お前は、大切な俺の餌食の兄弟だからね」

守には咄嗟に「餌食の兄弟」という意味が分らなかったので、黙っていると、相手はさもおかし相に又笑って、併しやっぱり圧し殺した声で、

「餌食というのはね、ホラ、今夜の春川月子みたいな美しい餌食のことさ。ウフフフ……、分ったかね」

アア、何と云う事だ。悪魔が餌食といっているのは、守の妹の珠子のことであったのだ。だが、余りと云えば突拍子もない言草ではないか。一体全体何の理由があって、何の恨みがあって。

「僕の妹を知っているのか」

「ウン、よく知っている。東京の女学生という女学生の内で第一等の美人の珠子という娘を、俺はとっくから知っているんだ」

「どうしようというのだ」

「餌食にしようというのさ。ウフフフ」

「ウヌ」

余りの言草に、守はカッとのぼせ上って、いきなり相手に組みつこうとした。

「馬鹿ッ、命が惜しくはないのか」

グイグイとピストルの筒口をつきつけられては、流石にそれ以上手向う勇気はなかった。守はただ拳を握りしめて、身体中から冷汗を流して、無念の歯噛みをするばかりであった。