Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

だが、六人の召使が邸内の隅から隅を見廻っても、怪しい人影はどこにもなかった。しかも不思議はそればかりではなかった。ゾッとした事には、目に見えぬ怪物は、その厳重な監視の中を潜って、まるで無人の境を行くが如く、座敷から座敷へと歩き廻っていたことが分って来た。

操一氏が居間に帰って見ると、机の上に投げ出してあった夕刊に、同じ赤い鉛筆でデカデカと大きな蠍が書きなぐってあった。

間もあらせず、女中部屋に、死にもの狂いの悲鳴が聞えたので、駈けつけると、その四畳半の入口の障子に、やっぱり醜い赤蠍の絵が張りつけてあった。

一方では一人の書生が、庭園の樹の枝にかけてある提灯の上を、不気味な守宮の様に這っている、本物の蠍の死骸を発見して震え上った。

悪魔は面白がっているのだ。腕白小僧の様にずば抜けたいたずらをして、どこかしら見えぬ場所から、手を叩いて笑っているのだ。

操一氏は、もう家中が殺人鬼で一杯になっている様な感じで、為す術を知らなかった。珠子も、敏感にそれと気づくと、殿村夫人の制止も聞かず、ベッドを降りてウロウロと、部屋から部屋をさまよった。逃げても隠れても、怪物が身近に寄り添っている様で、広い邸内に彼女の落ちつく場所がなかった。