Classiques japonais avec furigana
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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
Lisez 妾の半生涯 (わらわのはんせいがい) de 福田 英子 (ふくだひでこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 64 051 caractères · 122 écrans
人道の大義を説くの必要なし、ただ一死以て諸氏に謝する而已と覚悟しつつ、兄に向かいてかばかりの大事に与せしは全く妾の心得違いなりき、今こそ御諭によりて悔悟したれ、以後は仰せのままに従うべければ、何とぞ誓いし諸氏の面目を立てしめ給え、と種々に哀願して僅かにその承諾は得てしかど、妾はそれより二階の一室に閉じ籠めの身となり、妹は看守の役を仰せ付かりつ。筆も紙も与えられねば書を読むさえも許されず、その悲しさは死にも優りて、御身のさぞや待ちつらんと思う心は、なかなか待つ身に幾倍の苦しさなりけん。漸う妹を賺して、鉛筆と半紙を借り受け急ぎ消息はなしけるも、委しき有様を書き記すべき暇もなかりき。定めて心変りよと爪弾きせらるるならんと口惜しさ悲しさに胸は張り裂くる思いにて、夜もおちおち眠られず。何とぞして今一度東上し、この胸の苦痛を語りて徐ろに身の振り方を定めんものと今度漸く出奔の期を得たるなり。そは両三日前妹が中元の祝いにと、他より四、五円の金をもらいしを無理に借り受け、そを路費として、夜半寝巻のままに家を脱け出で、これより耶蘇教に身を委ね神に事えて妾が志を貫かんとの手紙を残して、かくは上京したるなれば、妾はもはや同志の者にあらず、約に背くの不義を咎むることなく長く交誼を許してよという。