Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lisez 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 360 caractères · 251 écrans
広蓋を持って、顔じゅう汗だらけであった。
「おなをさんがお待ちかねよ、どうなさいましたの、このごろ」
「いつもの座敷でいいね」
半之助は構わずあがった。
「とにかく汗を拭かせて貰おう」
「はい奥方にそう申します」
二階へあがって、堀に面した端の座敷が、彼の席と、定ったようになっている。そこへはいって、袴をぬいでいると、お勝が挨拶に来、あとからおなをという女中が、半と手拭を持って来た。
汗を拭いて、茶屋の浴衣にくつろぐと、昨日からの気疲れが出て、風とおしのよいところへ、まず横になった。
「どうなさいましたの、暑気に当りでもなすったんですか」
「そんなところだろう、みんなの来るまでひと眠りするよ」
「それならこれでは明るすぎるでしょう、小屏風でも立てましょうか」
「なにこれでいい、ただ呼ぶまで誰も来ないようにして呉れ」
おなをはいちど出てゆき、派手な柄の帷子を持って来て、裙のほうへ掛けた。
「あたしので失礼ですけれど」
そして黙って、こちらを見まもった。
「どうしたんだ」
こう云って眼をやると、さびしげに笑いながら、首を振った。小さな唇の間から、糸切歯が見えた。
おなをはその年の春芝居から、初めてこの茶屋に勤めだした。