Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lisez 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 247 caractères · 229 écrans

Aozora Bunko

六

「お前には娘があるな、その娘さんに恋人でもありゃせんか?」

「どういたしまして、あの娘は、近所できいて下さりゃわかりますがそりゃ評判の固い娘でして、来月大連から帰ってくる甥と一しょにさせることになっとりますので……」

「娘さんは、今離れで誰かに麻酔薬をかがされて眠っているのだぞ」

「いいえ、そんなはずはありません。泥棒は玄関からはいって、玄関から出てゆきました。わたしはこの耳でちゃんときいていました。……そうそう、今思い出しましたが、泥棒は出がけにこんなことをいっとりました、――俺はお前のように悪いことをするのじゃないのだ、悪い奴をこらしめてやるのだ。その証拠には警察ではきっと俺を保護してくれる。今夜は警察の厄介になるつもりだ。警察が見えたらお前からもお礼をいっといてくれ――なんていっとりました」

その時甲刑事が、離れにいる娘が気がついたと知らしてきたので、一行は二人の巡査に見張りをさしておいて離れの方へ出て行きました。

六

「昨夜十一時半頃、お前の部屋へはいってきた男は誰だ?」

検事は、恐ろしさにがたがたふるえている娘に向かってたずねた。娘は、まだ、この場の様子がはっきり合点がゆかないらしく、時々眼をあげては一行のいかめしい姿をちらりと見ては、恐ろしくなってまた眼をふせているのでありました。