Classiques japonais avec furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lisez 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 247 caractères · 229 écrans
二
あれじゃ、あの因業爺が娘をくれるわけはないやね。不具者で職工ときちゃね。ところがこれの方は金貸爺の娘にも似合わんかわりもんでな、早くどうにかしてくれんとよそへやられてしまうってあの不具者に一しょになってくれとせがんでるんだぜ。野郎はまた野郎で、結婚するにゃ準備もいるし、職工の身分じゃ今すぐに家をもつわけにもいかんというので、泣いたり、抱きついたり、見ちゃおれんので、俺はもう出てきたよ」
「でかい獲物をあげるつもりで、あべこべにすっかり濡れ場を見せられて、あてられちゃったわけだな」
「こういう時にゃ刑事というしょうばいもつくづくいやになるな」
「それにしても忌々しい野郎だな、一つおどかしてやろうじゃないか?」
「罪だからよせ」
「ばかに同情するな、お前もあやしいんじゃないか?」
「冗談いうな」
二
二人の私服刑事が、低声で話しながら、二三十歩北へ上がって行ったときに、また島田寓の裏木戸がすうっと開いて、中から第一の男が、何事か起こったあとのように、少し気色ばんだ様子をしてあたふた出てきました。
二人の刑事は急ぎ歩で二三歩引かえして、
「待てっ」と叫びました。
男はびっくりして、そちらをふり向いたと思うと、いきなり反対の方角へ飛鳥のように走り出しました。