Classiques japonais avec furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lisez 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 247 caractères · 229 écrans
とうとう逃がしてしまいました」
「ふん、どうした?」と署長は膝をすすめました。
「市内の警察で昨夜留置された奴を、どんな奴でも片っ端からしらべるつもりで、杉原署へ行ってみますと、昨夜夜中過ぎに、ぐでんぐでんに酔払った男を宮川町からひっぱってきて同署の留置室で保護しといたそうです。何しろ、島田家にあの事件の起こったのとほとんど同じ時刻に、しかも、あそこからよっぽど離れた宮川町でつかまえた酔漢のことですから、同署でも別に問題にもせずにいたところ、今朝になって溝川署の甲刑事が自動車で迎えにきて松澤男爵だといってつれて帰ったというのです」
「ほほう、それが犯人だというのかね?」
「そうです。五条油小路から宮川町までは自動車で飛ばせば五分で行けます。それに自動車の中で道々喇叭呑みをしてゆけば、結構熟柿臭いいきになって三時間も飲みつづけていた酔漢のまねができますからなあ」
「甲刑事は一体どうしたんだ、けしからん」
「それはね、昨夜、島田の裏木戸の前へ乙刑事をのこしておいて家の中へはいった時ほんとの甲刑事はきっと奴にがあんと一つくわされてしまい、奴が甲の着物を着て、すっかり甲になりすましていたんですよ。