Classiques japonais avec furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lisez 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 247 caractères · 229 écrans
さ、ぐずぐずしてはおられません。はやく出しなさい。贅沢な指環や頸飾りは、必要なものじゃありません。(島村夫人を指さしながら)あなたのその真珠の頸飾りが一つありゃ、百人の困った者が一年食ってゆける。だが、あなたの薬指の方の指環はエンゲージ・リングのようだから、それだけはのこしときなさい。あなた方の幸福の紀念を奪うほど私は冷酷な男ではありませんからな。しかし指環は一つありゃ沢山だ。第一、二つも三つも指輪をはめているのは見っともない。
四人の女は次々に指環をぬき、頸飾りをはずして差し出す。仮面の男は、右手にピストルをもったまま、左手で受けとってはポケットの中へしまいこむ。
さあこれでよい。ことわっておきますが、これは決して私が頂戴するんじゃありませんよ。私は貴女がたの不要品をいただいていって、それを金にかえて、困っている者に取り次ぐだけです。これから私はうしろの樹陰へかくれますが、まだ動いちゃいけませんよ。ご苦労だが、もう十分間そうして手をあげて、そこにじっとしていて下さい。私はかげからよく見とりますよ。もし動いたり、声をたてたりしたら、このピストルが承知しませんからね。