Classiques japonais avec furigana
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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
Lisez 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 96 621 caractères · 195 écrans
「親指を痛めたぐらいで犯人にきめられて、たまるかい。別に隠す気はなくとも、めぐり合せで、隠しているように見えたかも知れん。人生に、暗合は多いものだ。そのようなことにコセコセするから、女子と小人は養いがたし、というのだ」
こうきめつけられては、この問題も、これ以上はつづけられない。大矢主任は、何事も逆らわぬ主義、自然の中から何かを汲みとろうとしているようだ。
彼はアッサリ話題を変えた。
「や、どうも、まったく、警察官はくだらぬ小事にコセコセと、まことにお聞きづらいことでしょう。しかし、我々といたしましては、こうして人にイヤがられながら一つ一つ追求して行かないと、結論へ辿りつくことができませんので、もう少々、御カンベンねがいます。先日の家宅捜査では見当りませんでしたが、倉田さんは、ピストルを所持しておられたそうですね」
「フン。ピストル」
由之は不興げに目をむいた。
「洋行帰りの誰かから貰ってな。二十年も昔の話だ。ワシはピストルなどは要らん男だ。くれたから、もらってやったが、どこかへ抛りこんで、二十年間、思いだしたこともない」
「ヤ、それは分っております。けっして倉田さんを疑っているのではありません。