Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 841 caractères · 376 écrans
養い方もいろいろある。兵馬の訓練は将士一体のことだが、個々の小閑には、書を読むもあり、酒をたのしむもあり、禅をやるのもあろう。藤吉郎の場合は、たいがい砦の奥のいちばん広い座敷を――がらんと空間にさせておいて、広縁のはしへ褥を運ばせ、それへあぐらをくんで、ぽつねんと陽なたぼっこをしているような折が多い。
或る時、家臣のひとりが、
「殿には、なぜお座敷におられませぬか。よほどお縁側がお好きでございますな」
戯れに問うと、藤吉郎もおかしそうに、
「何も、板縁に坐るのが好きなわけではないが、春の草々が芽ぐみ出すと、無性に土がこいしゅうなる。座敷よりは縁のほうが土に近いだろ。それだからこれにおるのだ」
と、いった。
その答えは、家臣の者には、何だか半解のようだったが、彼のうしろに、彼の刀をささげて居眠っている二人の童子には、かえって分ったようだった。
市松も虎之助も、春めくとよけいに畳の上よりは土が恋しくなった。藤吉郎は、洲股にある母が、今頃はまた菜園に出て、菜を作ったり豆を植えているであろうなどと、子の自分が多少立身しても、なお鍬を離さない母のすがたをぼんやり想像していた。