Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 187 841 caractères · 376 écrans
すると、城門越しに、矢倉の上から、敵の顔が見えて、覗き下ろしながら云った。
「御無用ッ。御無用。――何度参られても、御城代のお答えは、同じものでござる。お帰んなさい」
「あいや」
半兵衛は振り仰いで、
「いつもは、木下家の家臣としてでござったが、こよいは、一半兵衛重治として、妹のゆうと共に、月を賞でつつ、浮々と、お立ち寄り申したのでござる。――それがしの知る樋口三郎兵衛どのは、武勇の質であるばかりでなく、風雅も解し、あわれも知る優しい武士と承知しているが、さては早、木下勢に取り詰められ、月を見る心のゆとりも、友と語らう心情も、失われてしまわれたか。……さるにては是非もないが」
独り嘆くようにいっていると、
「だまれッ」
と、狭間でべつな声がした。
「おお、三郎兵衛殿」
仰ぐと、上の顔は、
「やよ、半兵衛殿。いくら訪ねて来ても、むだであるぞ。会う要はない。帰れッ……」
「――おじ様ッ、おじ様。ゆうでございまする」
「ヤ、ゆう殿。女の身で、何しにこの戦場へ」
「余りに、兄の心の可憐しさに……。そして、おじ様も、いつお討死か知れぬと聞き、お別れに参りました」
ここは、半兵衛兄妹の生地、菩提山の城からも程近い。