Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 911 caractères · 353 écrans
あわれむべし、武弁のほこりだけあって、敵を知らず、おのれを覚らず、ただ意気のみに燃ゆる猛勇の人。
――池田勝入は、一路、三州岡崎をさして、敵地行を決して来ながら、その目的地からは横道の――岩崎城へ攻めかかり、朝めし前に、小城一つを踏みつぶした快にひたりきって、
「かちどき!」
と、武者声を命じ、
「三州入りの、幸先よいぞ」
と、六坊山に床几をおかせ、かち獲った敵の首級二百余を、実検していた。
それが、その朝の辰の上刻(七時)ごろ。
かれはまだ、後方の変を、夢にも知らなかった。目前に、余燼の煙をあげている敵の城骸だけを見て、武勇の人の陥りやすい、小さな快味に酔っていた。
首実検や、軍功帳への記入を終ってから、ここでは朝めしの兵糧だった。
兵たちが、口をうごかしながら、時折、西北の空を見ているのが、ふと、勝入も気になった。
「丹後、何じゃろ、あの空いろは……」
池田丹後、池田久左、伊木清兵衛など、かれをめぐる将星たちが、同じ角度に、みな西北へ顔を向けた。
「一揆どもではありませんかな」
「一揆。おかしいな」
「左様?」
――でもまだ、残りの弁当を、喰べていると、丘のふもとで、騒然と、何か、わめきが聞える。