Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 911 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

けれどその槍がまだ地へ落ちないうちに、流弾のため、どうと仆れて、かれの体も、急な崖をゴロゴロころがって行った。

一方、兄にわかれた三左衛門輝政も、

「父上の安否も知れぬうちに、戦場を退けようか。父上は? 兄上は?」

と、潰乱する味方の流れから駈けもどって、どうしても、退かなかったが、そのうちに、勝入の老臣、伴道雲が、来あわせて、

「いや大殿には、矢田川の方へ、はやお立ちのきです。そのお姿を、道雲も、お見かけ申してござる」

と、時にとっての機智で、こう止めたので、輝政も、

「父上が御無事ならば」

と、ついに駒を回して、敗走する味方のあとから、共に、逃げ落ちて行った。

――もう、負けいくさ。

と、闘志を失った池田の士卒は、三々五々、田のあぜ、山の小道、林や湿地のあいだなど、道をえらばず、潰走していた。――その思い思いな人間の流れは、やがて、みな矢田川の岸へ出た。

その中に、勝入の側臣、池田丹後守もまじっていた。これは早退きして来たものとみえ、傷手もすくない士卒を四、五十人もつれて、ぞろぞろと逃げていた。

すると、あとから、

「池田丹後よな。丹後、返せッ」

と、ただ一騎で、田の道を、追いしたって来た徳川家の荒武者がある。