Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans

Aozora Bunko

それはつい今そこで別れた小四郎とその兄の少年だった。「兄さん、はたし合だ」そういう小四郎の声がした。

秀之進はそれで相手が藤田家ゆかりの者でないことをたしかめた。同時に胸へひらめいたのは、府中でうまくまいたあの男のことだった。江戸からずっと跟けて来た。滝川内膳ふくしんの者だという。そして明らかに自分の命を覘っていると思えるあの男。――そうだ、それに相違ない、そう気づくと秀之進は急にふしぎな闘志を感じだした。滝川内膳はつねに亀阜荘頼該を圧迫している人間だ。この男が自分を斬ろうとしているのも、自分が頼該の使者だからであろう。頼該と水戸とを接近させまいとする、内膳の執拗な意志によるのだ。――よし、斬れるなら斬ってみろ。

かれのそういう決意が通じたのか、それとも少年の声を聞いて邪魔の来ぬうちにと思ったか、相手は低く呻くように叫びながら、つぶてのようにとびかかって来た。

それはみごとな突だった。気合もすばらしいし、まったくの捨て身で、そのまま躰当りともみえるすさまじさだった。秀之進はその切尖がおのれの胸に触れたとみる刹那に、躰を捻った。両者のからだが烈しくうち当り、ぐいと右へもつれたとみると、突をいれた相手はあっと叫び、足をとられて転倒した、刀がその手からとんで、道の上で冴えた音をたてた。