Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans
二
「今あんたは覘われているのをご承知でしょうね、此処を一歩そとへ出れば、幕吏の網へとびこむのも同様ですよ」
「高松だって安全ではないさ」秀之進は睡けを催したらしく、小さく欠伸をしながらそう云った、「おればかりじゃない、今はみんながおのれの安全を棄てるべき時代だ、考えてみると、幕吏に追われはじめてから、却って足が地についたようだ、つまり為すべき事がぎりぎりに凝縮されるからだろう、おれはまえよりも生き甲斐を鮮やかに感じだしている」
「……早水さんはまったく人が違ってきた」
「たしかに」と秀之進は云った、「水戸へ使いしたおかげだよ」
二
明くる日から秀之進は書庫へ籠りきりでせっせと書き物をした。水戸へ使いした始終のことを、精しく記して左近頼該に呈出したいと思ったからである。
「いつかの相談だが」午後の茶菓を自分で運んで来た大助が、机のそばへ坐りこんで云いだした、「柿崎嬢のことはどうしてくれるお考えですか」
「今夜きまりをつけるよ」
「今夜……本当ですか、そしていったいどう落ち着けるおつもりです」
「おれが嫁に貰う」
あんまりずばりと云われたので大助はあっけにとられた。大助こそ苦しまぎれにそれを望み、いちどは秀之進にそう云いかけさえした。