Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans

Aozora Bunko

二

「柳さん早く、早く来て」

二

柳通助が家のなかへ踏みこんだとき、離室から寒笑がとびだして来たところだった。右の小脇になにか抱えている。通助を見たとたん、かれは横っとびに庭へ走った。

「ああ裏の抜け路次です」

梅八が叫ぶより早く、通助はそのあとを追い、えいっと大喝しながら刀を抜きうちにその背へあびせた。「うぬ、斬るぞ」寒笑は抜け路次の木戸へからだを叩きつけた。錠がおりているからばりッと音がしただけである。ふり向いた、硬化した顔に眼がひきつっている。ひっというような悲鳴をあげ通助の刀を避けて右へ走った。つくばいがあったのを忘れている。逆上しているので掬われたように転倒した。ひっしに抱えていた包がとんで、さっと庭上へ巻き解いたのは、三当旗であった。

「動くと斬るぞ、動くなよ」通助は大剣の切尖をつきつけながら、「早くこれを片付けて呉れ」

こう梅八にふりかえった。そして梅八と藤尾とが旗を片付けているあいだに、寒笑の衿を掴んでひき起こし、そのまま離室へとぐいぐい曳いていった。

「きさま、こんどはのがさんぞ」

「…………」膝を固くして坐ったが、唇の色もなく全身わなわなと畳にひびくほど震えている。