Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans

Aozora Bunko

この数日しきりにそのことを考えていたのである。娘にとってもっとも安穏なおちつき方は結婚だ。しかし藤尾の場合には、その身の上が決定的に結婚の邪魔となる。兄を喪った傷心もまだ癒えまい。しかも吉田藩から兄妹をつけて来た討手が、どこに隠れてねらっているかも知れないのである。――こればかりは梅八に相談してもしかたがないし。近いうち木曽へ出立するつもりでいる大助には、それがなにより懸念の種なのであった。

「お熱すぎましたでしょうか」

間もなく藤尾が茶をいれて来た。大助はうまそうに舌を鳴らせてすすった。

「結構です、酒で喉がやけているものですから……何を書いていらしったんです」

「はあ、あの……」

「こまかい書きものをなさるときは、もっと灯を明るくなさらないといけませんね、なにか写しものですか」

「いいえ、心覚えの日誌を」

ああそうかと大助は眼で頷いた。兄と共に吉田を脱藩して来てからの、幾十日の風雪の日々を書きとめていたに違いない。どんな気持で筆をはこんでいたことだろう。……憂いある眉のあたり、いくらか肉づいてはきたが、心労の影の濃い頬、俯向いている藤尾の顔を見まもりながら、かれはまた胸が暗くなるのを感じた。