Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans

Aozora Bunko

そんなことだから、あのような取返しのつかない失策をしてしまったのだ。梅八は言葉の終りを胸のなかで云って、自分の愚かさを罵り辱しめた。とりかえしのつかぬ事、大助の木曽行を平気で告げた、それがどんな大事になるか気付きもしないで、……その愚かさは平常の生き方からきているのだ。生き方の中心が違っていたら、あのようにばかなまねはしなかったであろう。それがいま梅八の心を八千にひき裂くのである。

世の中というものは人間が集まって出来ている、どんな生業をしようとも、世間と関わりなしに自分ひとりで生きられるものではない。梅八はいましみいるようにそのことを思った。……人間は生きているというだけで誰かの恩恵を蒙っている、他人の造った家に住み、他人の作った米麦を喰べ、他人の織った着物を着る、日々の生活に欠かせない有ゆる必要な品々が、すべて見も知らぬ他人の丹精に依って出来たものだ。ひとから物を借りれば、いつかは礼を付けて返さなければならない。返せない借物なら、それに代るだけの事をするのが人間の義理である。世の中に生きて、眼に見えない多くの人たちの恩恵を受けるからには、自分も世の中に対してなにかを返さなければならないだろう、自分はそれをしたであろうか。