Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans
「…………」秀之進は黙っていた。
「あの人を早水さんに引受けて貰えませんかね、色いろ考えてみた結果、その他にはないように思うんですが」
「……悪い癖だね」
「おせっかいの小言ならわかってますよ、あの人を富士から伴れて来たのからして」
「そうじゃないさ」秀之進は窓外を見たままこう遮った、「あのとき富士へ置いて来られなかったのは仕方がない、大さんがいなければ私だってそうしたろう、然し身の始末まで世話をやくことはないじゃないか」
「でも考えて呉れませんか、お小言なら幾らでも聞きますよ、あの人はまったくの孤独で、私でもどうかなった後はゆき処もない身の上ですからね」
「己だって明日のことは知れやしない」
「それだけですか」大助はじっと相手の横顔を見た、「そういう意味なら、現在の青年はみんな同じ状態なんで、一人だって安心して結婚のできる者なんかいませんよ」
「その話はよそう」
秀之進は強くそう云った、大助は黙った。この家の裏手に小川でもあるのか、だくだくと溢れるような流れの音が聞えて来る。
「どこへゆくんです」
刀を取って部屋を出ようとするので、大助が呼びとめた。秀之進はそのまま店先のほうへ去ってゆく。