Classiques japonais avec furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lisez 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 541 caractères · 305 écrans
うつろな声だった。
「お高うございます」内膳は手をあげて、「この頃は御殿うちにもよその耳がございます、御老公おのりだし以来、こちらにもだいぶ妙な芽がふきでましたから」
「校川宗兵衛とやら申す……」
「宗兵衛なにほどの者と、わたくし共も存じましたし結さまにもさよう申上げておきましたが、なかなかどう致して、かれは迂濶な相手ではござりませんぞ」
「先日どなりこんだそうだが」
「お国もとから暴れ者がやって来たので、その案内で押しかけました、武田なにがしとやら云いましたか……」
「魁介であろう、耕雲斎の二男で水戸でも評判の男だ」寅寿はそこで用談にかかった、「今宵まいったのは、実はその件についておたのみがあってのことだ、魁介どもの覘っている両名を、このお邸内へ預かって頂きたい」
「この邸ではいけますまい」
「この邸だからよいのだ、魁介どもは両人をつけ覘っておる、先日ここへまいったのはそのためで、同時にこの邸におらぬことをもたしかめた筈、だからこの邸こそもっとも安全という訳ではないか」
「一応ごもっともではあるが」内膳はちょっと考えた、「いったいその両人はなに者でございますか、大峰、矢田部と姓だけは先日耳にいたしましたが、刺客に逐われるほどの大切な役におりましたのか」