Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lisez 春いくたび (はるいくたび) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 70 094 caractères · 142 écrans
「かく本望を達したうえは、一時も早く故郷へ立帰り、父をも安堵させ、殿の御意をも安んぜとうござる、まことに礼を知らぬいたしかたではござるが、ここでお別れ申します」
「しかしこの夜中では……」
「いや、夜中ながら、もはや一刻も惜しく、また湛左衛門の件について、貴殿に御迷惑がかかってはなりません、これより江戸邸へ参って始末のことを頼み、すぐ国許へ出立仕ります」
「なるほど、お心急くのも道理、では……途中気をつけて」
「お傷を御大切に」
側から加代も名残惜しげに云った。――春枝は堪らなくなったのであろう。いきなり加代の胸へ縋りついて、
「あなたのお兄さまのお蔭で、兄もわたくしも命拾いをいたしました、たとえ遠く離れても、この御恩は決して忘れませぬ」
「そんなことはお案じなさいますな、それよりどうぞ銀之丞さまをお大事に」
「あなたもお兄さまを、どうぞ御大切に」
互いに労わりあう乙女心の、なごやかな優しさが、この殺伐な場面に一脈の色彩を添えるかに見えた。
「さらば、必ずまたお眼にかかりましょうぞ」
別れ行く駕の中から、銀之丞が意味ありげに言葉を遺した。
三樹八郎と加代は、それを見送ってから家へ帰った。